心のやまい その1
こころの病 その1 こころとからだ――中医学の考え方 五臓のネットワークがこころとからだの健康を支える 中医学では、こころとからだは一体のものであり、したがって、こころに異常が起こると、必ずからだに影響が及び、からだに異常が起こると、必ずこころに影響が及ぶと考えます。...
こころの病 その2
こころの病 その2 本能と理性のバランスによってこころの活動が正常に行われる 中医学では、こころやからだの活動を総称して「神(心神)」といいます。 神は、表情や動作、態度や言語として表現されます。 神には「魄」と「魂」という二つの面があります。...
こころの病 その3
こころの病 その3 感情を表現することによって臓腑の生理機能が正常に戻る 感情には「喜」「怒」「憂」「思」「悲」「恐」「驚」の七つがあります。 これを「七情」といいますが、このうち、心と喜、肝と怒、肺と悲、脾と思、腎と恐のように、特に五臓と関係の深いものを「五志」とい...
こころの病 その4
こころの病 その4 原因が取り除かれても臓腑の機能失調が残る しかし、刺激が強すぎたり、刺激を受ける時間が長すぎると、臓腑の協調とバランスがくずれます(実証)。 この状態が続き、気や血、津液や精をつくって全身に送る働きが低下するようになると(虚実挟雑証あるいは虚証)...
こころの病 その5
こころの病 その5 こころの病いと診断 こころの病いは三つに大別される こころの病いは、まず心の機能失調を引き起こし、不安や不眠、動悸や健忘、心配しすぎ、夢をよく見るといった症状を表します。 しかし、心は五臓すべてを統括しているので、心が傷つけば、ほかの臓にも影響がお...
こころの病 その6
こころの病 その6 こころの病は、 ①怒りによって肝の機能が滞って起こる症状(鬱怒傷肝)、 ②思い悩み過ぎて脾の機能が失調したり、肝と脾の調和がくずれて起こる実の症状(思鬱傷脾)、 ③鬱怒傷肝や思鬱傷脾の状態が長びくか、あるいはもともと虚弱なために、心の活動に必要な気や血...
こころの病 その7
こころの病 その7 やり場のない怒りが内蔵の機能を失調させる まず、鬱怒傷肝によって起こるこころの病いについて考えてみましょう。 心因性の症状は、必ず心を中心に起こります。 しかし、魂は肝に内蔵されているため、肝の機能失調はこころの病いを考える上で重要な位置をしめて...
こころの病 その8
こころの病 その8 機能の失調が長びくとほかの臓器にも影響がおよぶ 鬱怒傷肝タイプのこころの病いは、肝の疏泄機能が失調した「気鬱」からはじまります。 これが続くと気が滞り(気滞)、血や津液の流れも滞って、疼痛や脹満が現れます(血鬱・痰鬱)。...
こころの病 その9
こころの病 その9 病態の変化に応じて治療法が変わる その1 肝の疏泄機能が失調する気鬱の症状では、ゆううつで気分が不安定となり、怒りっぽくなります。 そのほか、胸がつまったようになる、胸の脇が張る、胃が重く、ゲップが出て食欲がない、大便がすっきり出ない、舌苔がベタッと...
こころの病 その10
こころの病 その10 病態の変化に応じて治療法が変わる その2 また、のどに何かつまったような感じがして、飲みこんでも吐いても異物感がとれない症状は「梅核気」といい痰鬱に相当しますが、この場合には「半夏厚朴湯」がいいでしょう。...
こころの病 その11
こころの病 その11 考えすぎが内蔵の機能を失調させる 次に、思鬱傷脾によって起こるこころの病について、考えましょう。 ものごとを考えることは、からだの正常な活動です。 しかし、困難な問題をいつまでも解決できなかったり、心配ごとや悲しいことを考えたり、長い間単調な...
こころの病 その12
こころの病 その12 基本物質の不足が臓腑の機能を低下させ不安症が慢性化する 次に、心失所養のこころの病いについて考えてみましょう。 脾の機能失調が長びいて働きが低下すると、心と脾の活動に必要な気や血が慢性的に不足(虚)した状態になります(心脾両虚)。...
こころの病 その13
こころの病 その13 心の活動エネルギーが不足している場合 ふだんから元気のない人が、ささいなことでくよくよしたり、悲しんだりすると、特に脾の機能が乱れやすくなります。 そのため、心の活動に必要なエネルギーが不足します。...
こころの病 その14
こころの病 その14 心の栄養が不足している場合 心血虚では、持続歳の動悸、驚きやすい、イライラや不安感が強い、寝つきが悪い、夢をよく見る、忘れっぽくなる、めまい、顔が蒼白、舌の色が淡白で細く、歯痕がハッキリせず乾燥ぎみ、脈が細くゆるやかになる、といった症状が現れます。...
こころの病 最終回
こころの病 最終回 心の陰液が不足している場合 もともと陰虚の素質がある人が、いつまでも思い悩んだり、強い悲しみや心配ごとがあると、心陰とともに肝や腎の陰血や陰精も損傷されます。 このような心陰虚の人は、相対的に余った陽熱(心火)の勢いが激しくなるため、イライラや不安...