のどの痛み その1
朝晩と涼しくなって、「朝起きたらのどが痛い」と訴える患者さんがお見えになるような季節になりました。 『のどの痛み』 は、咽頭・喉頭・扁桃などの部位を含んだ「のど」に自覚する痛みであり、発赤・腫脹・化膿などの炎症状態を呈する場合と、痛みの自覚だけの場合があります。...
のどの痛み その2
【急性ののどの痛み】 【風寒】 風寒の邪が肺の門戸であるのどを侵襲し、収斂凍結の性質をもつ寒邪が絡脈を渋滞させるためにのどが痛む病態です。 少陰心腎の経絡はいずれものどに連なっており、心腎の陽気が不足している場合(虚弱体質、老人、病後)は、虚に乗じて寒邪が侵入し経絡の流れを...
のどの痛み その3
【反復性・慢性ののどの痛み】 のどの痛みが何回も繰り返したり慢性的に続くのは、体の内部に原因があると考えます。 【鬱熱上炎】 体内に熱が鬱積していて、それがなんらかの外因によって熱がひき動かされて咽喉を上炎するために、のどの痛みが現れる病態です。...
のどの痛み その4
【反復性・慢性ののどの痛み】 【鬱熱上炎】 ②肝胆鬱熱 精神的ストレス・怒り・緊張あるいはかぜひきの反復によって邪の体内への残存で、肝胆の気機が鬱して化熱し、情緒の変動・かぜひきなどによって肝胆の鬱熱がひき動かされ、邪熱が咽喉に上がり炎症を起こす病態です。...
のどの痛み その5
【反復性・慢性ののどの痛み】 【陰虚火旺】 慢性病や老化、熱病などによって本来体に必要な体液である陰液が少なくなり、反対に陽気が相対的に余って虚熱となることでバランスが崩れ、その虚熱が上昇して咽喉を灼くためにのどが痛む病態です。...
のどの痛み その6
【反復性・慢性ののどの痛み】 【陰虚火旺】 ②【腎陰虚】 腎の陰精が不足し虚火が経絡を通じて咽に上昇して炎症を起こす病態です。 症状は、のどが渇いて痛みや発赤をともない、腰や膝がだるく力が入らない・頭のふらつき・めまい感・耳鳴り・のぼせ・からだの熱感・手足のはてり・ねあせ・...
のどの痛み その7
【反復性・慢性ののどの痛み】 【虚陽上浮】 慢性病や老化などで腎の陽気が虚し、温める力が衰えるために虚寒が生じ、体内で陰寒が盛んになって虚衰した陽気を押しやって上浮させ、虚陽が咽喉を犯してのどの痛みを引き起こす病態です。...
風邪にともなうノドの痛み その1
風邪にともなうノドの痛み その1 現代医学による喉の痛みの診断と治療 「ウイルス性」か「細菌性」かを見分けることが、治療の第一歩 「のどの痛み」は、単なるかぜの症状と思われがちですが、実際には細菌やそのほかの原因によって起こるものも少なくありません。...
風邪にともなうノドの痛み その2
風邪にともなうノドの痛み その2 かぜの薬と抗生物質を使い分けることが大切 ウイルス性と細菌性の違いは、「抗生物質が必要かどうか」の判断基準でもあります。 かぜと診断した場合には、症状を楽にするための対症療法を行いますが、細菌が原因になっているときは抗生物質を使うことに...
風邪にともなうノドの痛み その3
風邪にともなうノドの痛み その3 個人差や気候も考慮した中医学の治療が注目されている このように、のどの痛みに対する西洋薬も、決して万能とはいえません。 また、同じのどの痛みでも個人差があり、季節などの条件によっても症状が変わってきます。...
風邪にともなうノドの痛み その4
風邪にともなうノドの痛み その4 のどの痛みを起こす原因―― 中医学の考え方肺の機能が停滞するとのどの痛みが引き起こされる かぜの初期に起こるのどの痛みは、比較的軽く、ほかの症状とともに一週間ほどで治ってしまいますが、食べ物が飲み込めないほどの痛みがあったり、一か月も症状...
風邪にともなうノドの痛み その5
風邪にともなうノドの痛み その5 肺の働きを鈍らせる「寒冷」「熱」「湿」「乾燥」 肺の機能が停滞するときは、温度(寒冷・熱)や湿度(湿・乾燥)が影響しています。 このうち、最ものどの痛みを起こしやすいのは熱です。 湿や乾燥をともなう場合もありますが、熱がかかわっていな...
風邪にともなうノドの痛み その6
風邪にともなうノドの痛み その6 原因とからだの状態に応じて薬が使い分けられる 中医学では、同じのどの痛みでも、原因やからだの状態によって、治療法が異なります。 まず、寒冷・熱・湿・乾燥のうち、どれが主な原因となっているのかを判断します。...
風邪にともなうノドの痛み その7
かぜによるのどの痛みの治療法 のどの痛みは、「熱」によって引き起こされることが多い かぜによるのどの痛みがある場合、症状の程度よりも、まず痛みを起こしている原因を突き止めることが大切です。 かぜには、寒いかぜ(さむけが明らかで冷たいものを嫌う)、熱いかぜ(発熱、のどが渇...
風邪にともなうノドの痛み その8
風邪にともなうノドの痛み その8 慢性的なのどの痛みの治療法 肺に熱が停滞するとのどの痛みは慢性化する 銀翹散や駆風解毒湯はほかの薬よりも間違いの少ない薬ですが、慢性化したのどの痛みや、ほかの熱症状があまりないときには効かないことがあります。...
風邪にともなうノドの痛み その9
風邪にともなうノドの痛み その9 消化吸収の能力が落ちるとからだに不要な物質がたまる 食生活などの影響で、栄養物がうまく吸収されなくなると、からだに必要な水分が足りなくなって、乾いたり、体内に熱が生まれます。 そして、その熱が肺に滞ると、のどが痛むことになるのです。...
風邪にともなうノドの痛み その10
風邪にともなうノドの痛み その10 胃の「熱」やからだの「湿」が絡んで肺の機能が停滞することもある このほか、胃が原因で肺の機能が停滞することもあります。 辛いものや脂っこい食べものが好きな人は、胃に熱を生じやすくなります。...
風邪にともなうノドの痛み その11
風邪にともなうノドの痛み その11 水分の不足が肺に起こっているか、腎に起こっているかで治療法が異なる 治療は、原因となる寒冷・熱・湿・乾燥のうちどれが関わっているかを考えながら、のどの痛みに最も関連が深い肺と腎の状態を判断して行います。...
風邪にともなうノドの痛み その12
風邪にともなうノドの痛み その12 腎が熱量不足に陥ると「寒」と「湿」が生まれ肺の働きを鈍くする 先天的な機能を制御する腎の熱量が不足して、からだを温める力が落ちている場合にも、のどの痛みが起こることがあります。 余った水分は熱されず、冷たい水分(寒と湿が結びついたもの...
風邪にともなうノドの痛み その13
風邪にともなうノドの痛み その13 銀翹散と駆風解毒湯の上手な使い方とのどの痛みの予防 のどが痛み、渇き始めたら銀翹散や駆風解毒湯がぴったり のどが痛み始めてから一週間以内で、冷たいものが飲みたいなら、銀翹散か駆風解毒湯で間違いありません。...