慢性疲労 その1
慢性の疲労――疲労を生み出す生活と環境 現在の病気の診断基準では、慢性疲労症候群という病気としての「疲労」は認められながらも、原因としては未だに分かっていません。 「疲労」がどのように病的状態を呈するのか、どのような対処がされているのか、現代医学と中医学の両方からとら...
慢性疲労 その2
慢性疲労 その2 見落としてはいけない三つの身体所見 内科医のお話では、全体の倦怠感のほかに、身体所見が重要であるとしています。 「微熱がある、喉が赤い、首や腋の下を押さえると痛みを伴ったリンパ節があります。 この所見があると、ほかに病気があるかどうか除外診断をします...
慢性疲労 その3
慢性疲労 その3 確立された治療法がない慢性疲労症候群 健康そうに見えても、ひどいときには箸すら持つことのできない慢性疲労症候群ですが、今のところ、これという治療法はありません。 内科医は「漢方治療に手ごたえを得ていますが、一番大切なことは、肉体的、精神的な安静です。...
慢性疲労 その4
慢性疲労 その4 律義できまじめなタイプの人が多い この病気には、とても真面目な人がかかりやすいといわれています。 真面目に仕事や物事に取り組み、責任感がある人が患者さんに多いからです。 先生が治療にあたる患者さんのうち二十歳代の女性が全体の40%を占めています。...
慢性疲労 その5
慢性疲労 その5 周囲の理解と肉体と精神の安静を 日常生活もままならなくなるので、職場や学校で、病気への理解が必要です。 特に「第二のエイズ」などと不治の病や伝染病のように誤解されがちでしたが、医学的根拠はまったくありません。...
慢性疲労 その6
慢性疲労 その6 慢性の疲労をつくりだすメカニズム 「疲れ」と、病気としての「疲労」を区別する 一日中からだを動かしたり、仕事をめいっぱいこなした後とか、悩みをかかえているときに、私たちは「疲れ」を感じます。 たいていの場合、休息と栄養をとれば翌朝には元気が回復します...
慢性疲労 その7
慢性疲労 その7 からだはひとつのもので精神と肉体に分けられない 肉体的な疲れは、分かりやすいのですが、精神的な疲れは、当人ですらなかなか気がつかないものです。 肉体と精神は別のもののように考えやすいものですが、決してそうではありません。...
慢性疲労 その8
慢性疲労 その8 疲労の本質とは何か その1 「疲れ」について中医学では、どのような考え方をするのでしょうか。 「疲れ」は、からだのすみずみまでめぐっている「気」というエネルギーを消費することによって現れます。 「気」は人間のすべての生理機能をさしていますが、この目に...
慢性疲労 その9
慢性疲労 その9 疲労の本質とは何か その2 この段階では、すでに「気」だけの病気ではありません。 さらに体内の必要不可欠な精微な栄養素が消耗され、回復に必要な栄養代謝の働きも低下して、補充がつかないままに疲労が進みます。...
慢性疲労 その10
慢性疲労 その10 さまざまな「疲労」の原因 「疲労」の原因として考えられるものは数多くあります。 そのうち代表的なものをいくつかあげてみましょう。 まず過労、働き過ぎです。 とりわけ頭脳労働による過労が複雑な疲労に大きく影響していると考えられます。...
慢性疲労 その11
慢性疲労 その11 「疲労」の予防はやさしいようでむずかしい 「疲労」の原因を除くことが予防ですが、現代の社会、とくに都市社会にはなかなか取り除けない「疲労」の原因となるものが多くあります。 都市で働く人に、心の健康状態が不調であると訴える人が増えています。...
慢性疲労 その12
慢性疲労 その12 慢性の疲労の治療 「疲れ」を長引かせない 慢性の疲労は、単なる「疲れ」という言葉で片付けられないほど、からだにとって深刻な影響を与えるものです。 慢性疲労症候群の一連の症状は、人の暮らしにつきものである「疲れ」をないがしろにしてはならない、という警告...
慢性疲労 その13
慢性疲労 その13 脾胃の失調による諸症状を治療する薬 バイタリティの低下、慢性の疲労を起こす原因のひとつに、脾胃の機能低下があります。 脾胃は、解剖的な概念ではなく、脾や胃、小腸、大腸上部までの消化器系を包み込んだ、生理機能的な概念として考えられています。...
慢性疲労 その14
慢性疲労 その14 体力の低下、慢性の疲労 疲れが抜け切れず、翌日に持ち越してしまうようになったら要注意です。 立っているのがつらく、すぐに座りたくなったり、朝なかなか起きられないなどの症状も慢性の疲労の特徴です。 疲労感や倦怠感はからだの機能の低下を知らせる合図です...
慢性疲労 その15
慢性疲労 その15 飲食の問題 胃腸が弱いというのは、脾胃そのものの問題です。 食べ物を栄養物に転化し、からだのすみずみまで、ばらまいていく力が弱いのです。 脾胃の力をつけるのが療方昇陽の主要な働きです。 あまり消化できない、味覚がそんなにない、食べる量が少ない人に...
慢性疲労 その16
慢性疲労 その16 ときどき立ちくらみがする 頭がふらついたり、目がかすむ、頭の中が空虚な感じがするのは、脾胃の力が落ちて栄養物が気となってからだの上部にまで行きわたらない、元気不足の症状のひとつです。 これは「 療方昇陽 」 の適応となります。...
慢性疲労 その17
慢性疲労 その17 昼間、汗が出やすい これは、昼間の汗をさします。 脾胃の力が衰えると、気となった栄養物がからだをめぐらなくなります。 そうすると汗腺がコントロールできなくなり、たいして動いてもいないのに汗が出てきます。...
慢性疲労 その18
慢性疲労 その18 軟便・下痢気味である 頻尿である 脾胃の力が衰えて栄養物が各臓器に十分に供給されず、消化機能が低下して軟便になったり、大便を排出する筋肉が緩んで慢性の下痢になります。 また脾胃の力があり、気となった栄養物がからだに行きわたると、内臓を支える筋肉にも緊...
慢性疲労 その19(最終回)
慢性疲労 その19(最終回) 疲労をつりだす生活環境 人間の暮らしは、日を追って複雑になっています。 それだけに自分をコントロールして、多様な暮らしの場面に対応しなければなりません。 また自分自身をリクリエイトするための趣味やスポーツや娯楽が、かえって「疲れ」を溜める...