月経不順 その1
月経不順 とは、月経の周期・持続日数・経血量が正常範囲をはずれていることをさし、月経痛・経血の色や性状の異常なども含まれています。 月経の周期と持続および経血の量・色・性状には、相互に関連性があり、病態によって相対的に変化が現れますので、注意して観察する必要があります。...
月経不順 その2
月経周期の異常 月経周期は成人で約30日(25日~38日)です。 成長期・閉経期あるいは妊娠・出産・授乳の時期を除くと、あまり大きな変動はありません。 通常の範囲を超えて周期が短いものを 『経行先期(頻発月経)』 、周期が長いものを 『経行後期(稀発月経)』...
月経不順 その3
血熱タイプ(経行先期) ②陰虚 慢性病・熱病・邪熱の停滞・数多くの出産などで陰血が消耗し、陽気が相対的に余って内熱が生じ、その内熱が月経血に影響する病態です。 症状は、月経の周期が短くて経血量が少なく、持続日数も短く、経血色は紅く粘調で、頭のふらつき・めまい・耳鳴り・からだ...
月経不順 その4
気虚タイプ(経行先期) 過労や慢性病・先天的虚弱・飲食の不摂生などで気が不足し、気の血を統摂する力が弱くなるために、経血の到来が早くなってしまう病態です。 症状としては、月経周期が短くて経血量が多く、血色は淡くて希薄であり、元気がない・気力がない・疲れやすい・しゃべるのがお...
月経不順 その5
【月経周期が長い場合】 経行後期は、周期が39日以上に延長することで、甚だしければ二~三ヶ月あるいは半年に一回の月経という場合もあります。 たまに周期が延長する程度のものは、この範疇には入りません。 血寒タイプ(経行後期)...
月経不順 その6
血寒タイプ(経行後期) ②虚寒 寒凝の長期滞留や慢性病、出産などによる衰弱で陽気も衰弱し、血を推動する力が弱くなると同時に、温める能力が低下して生じた虚寒の冷えにより血の凝滞を引き起こしている病態です。 冬季など寒冷にさらされると、容易に寒凝が発生します。...
月経不順 その7
血虚タイプ(経行後期) 慢性病や出血、多産などによる血の消耗、あるいは脾虚による血の産生不足が原因で、陰血が不足して衝脈任脈をなかなか満たすことができないために、月経の周期が延長する病態です。 症状としては、月経の周期が延長し、経血量が少なく淡色であり、月経終了後に下腹部が...
月経不順 その8
肝鬱気滞(経行後期) 精神的ストレス・悩み・怒り・不安感・緊張などで肝気が鬱結し、疎泄が十分にできなくなって気機が鬱滞し、気の推動が失調して血行が不十分になるために、血が衝任を通じて子宮へ下行するのが遅くなり、月経の周期が延長する病態といえます。...
月経不順 その9
痰湿タイプ(経行後期) 多食・食生活の不摂生・飲酒癖などで脾胃が障害され、水湿の運化が低下して痰湿が生じ、その痰湿が下焦に溜まり衝任を阻滞するために胞宮への血の下行が遅延し、月経周期が延長する病態です。 症状としては、月経の周期が延長し、月経血が淡色で粘調であり、ふだんから...
月経不順 その10
【月経周期が一定しない】 経行先後不定期は、周期が短縮したり延長したりして不規則なことです。 月経周期がたまに乱れるものや、閉経期にみられる先後不定期は、正常と考えられるので、この範疇に入りません。 肝鬱気滞(経行先後不定期)...
月経不順 その11
腎虚(経行先後不定期) 多産・性生活の不摂生・度重なる人工中絶・慢性病・先天的虚弱などが原因で腎精が不足し、精が血を生じないために肝血も不足し、肝気の疎泄が失調するために気血の流行が失調し、衝脈任脈を通じた陰血の子宮への下行が不規則になる病態です。...
月経不順 その12
【月経過多】 げっけいの持続日数は正常であるが月経血量が異常に多い、あるいは月経の持続日数が長いために、月経血の総量が多くなる病態です。 気不摂血(月経過多) 陽気が不足して血の統摂ができなくなり、月経血が漏洩するために月経過多をきたす病態です。 ①気虚...
月経不順 その13
気不摂血(月経過多) ②陽虚 先天的虚弱・早婚・若年の出産・多産・性生活の不節制などで、腎精と陽気が不足した状態です。 症状としては、月経周期が延長し、月経血の量が多いあるいはダラダラと月経が続き、月経血は痰色で希薄であり、月経後に下腹部や腰の痛みを訴えることがあり、温めた...
月経不順 その14
気不摂血(月経過多) ③血熱 精神的ストレスや悩み・怒りなどで肝火・心火が生じ、あるいは辛辣な食べ物・酒・煙草などの嗜好により胃腸に熱が内生したために、邪熱が血分にまでおよんで衝脈・任脈の血を溢れ出させ、月経過多を起こす病態です。...
月経不順 その15
【月経過少】 月経の持続日数は正常であるが月経血量が異常に少ない、あるいは月経の持続日数が短いために、月経血の総量が少ないものです。 たまに月経血量が少なくなるものや閉経期にみられるものは正常であり、今回の範疇には入りません。 ①血虚(月経過少)...
月経不順 その16
【月経過少】 ②腎虚 多産や性生活の不節制、度重なる人工中絶・慢性病・先天的虚弱などにより腎精が不足し、精が血を生じないために血液が子宮に注ぐことができずに、月経過少を引き起こす病態です。 症状は、月経血量がごく少量で、月経の色が淡紅あるいは暗紅で希薄であり、月経周期が一定...
月経不順 その17
【月経過少】 ③寒凝 月経時や出産時に、体を冷やすようなことや冷たいものを過度に摂取・雨に濡れたり水遊びをする・かぜをひくといった原因で、凍結収縮の性質をもつ寒邪が体をまとっている衝脈や任脈に侵入して血の流れを凝滞させるために、血が子宮に流入しないで月経過少をひきおこす病態...
月経不順 その18
【月経過少】 ④痰湿 多食・食生活の不摂生・飲酒癖などで脾胃が障害され、水湿の運化が低下して痰湿が生じ、その痰湿が衝脈・任脈で血の流れを阻害するために、月経が過少になる病態です。 症状は、月経血量が少なく、月経の色が淡色で粘調であり、月経周期が延長する傾向にあり、ふだんから...
月経不順 その19
【月経過少】 ⑤血瘀 肝鬱気滞・痰湿・寒凝などにより気血の流れが悪化したり、気虚・陽虚にともなって推動力な無くなったり、血虚・陰虚・腎虚などの精血不足によって渋滞というように多くの原因で、血行が阻滞されて血瘀が生じ、血が子宮に注がないため月経過少を引き起こす病態です。...