胃腸病 その1
胃腸病 その1 現代医学による胃腸病の診断と治療病変が起こっている器官を 問診と検査でつきとめピンポイント的に治療する 現代医学では、胃腸病は病変がおこった部位の病気と考え、中医学のように消化器系をトータルにとらえて診断・治療をすることはありません。...
胃腸病 その2
胃腸病 その2 胃腸の機能的な乱れは病気とみなされない 胃腸病の場合、自覚症状が軽いと市販の薬を服んで治す人が多いのですが、顔色が悪くなった・顔につやがなくなった・痩せてきた・微熱が続く・食が細くなったという訴えや、なかなか治らない・便通が悪い・残便感がある・便が細くなっ...
胃腸病 その3
胃腸病 その3 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療薬は制酸剤と胃粘膜保護剤がメイン 内科を受診する患者さんの場合、もたれるという程度のものは少なく、びらん性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんを患っていることが多いため、医療の現場で用いられる抗潰瘍薬は、制酸剤と胃粘膜保護剤が中心です。...
胃腸病 その4
胃腸病 その4 新薬の効用と弊 害 このように、新薬は重大な疾患を重点的に治療することができる反面、副作用やリバウンド、依存性などの欠点があることも否めません。 現代医学は、ひとりひとりの体質や病気の原因・背景などを考慮することなく「この病気にはこの薬」とか「悪いところ...
胃腸病 その5
胃腸病 その5 胃腸のメカニズム――中医学の考え方 生薬配合の胃腸薬も病気に合わなければ効果がない 胃腸病の原因はさまざまですが、急性の場合には、本人にも原因がわかっていることが少なくありません。 そのため、ほとんどの人は、よほど症状が激しくない限り、病院には行かずに市...
胃腸病 その6
胃腸病 その6 食べ物の受け入れ・利用・排泄のいずれかが滞ると、胃腸病になる 中医学では、胃腸病が起きるメカニズムを次のように考えています。 食べものを受け入れ、利用して、残ったものを排泄するという作用のうち、どこかが滞ると胃腸の症状が現れます。...
胃腸病 その7
胃腸病 その7 脾は上に昇り、胃は下に降りる。 この運動形態に逆らうと症状が起こる。 臓腑の働きには、それぞれ方向性があります。 肺や心のように、からだの上部にある臓腑は下に降りる性質をもっており、肝や腎など下部にあるものは上に昇る性質があります。...
胃腸病 その8
胃腸病 その8 ストレスや心配ごとから起こる胃腸病は、「肝」が関係している 急性の胃腸病に最も多いのは、食べ過ぎや飲み過ぎ、二日酔いなど、飲食によるものです。 この場合、もともと胃腸が丈夫な人なら、嘔吐や下痢を起こしても消化のよいものを食べるようにしていれば、そのうち治...
胃腸病 その9
胃腸病 その9 痛みの性質と部位が診断の基準になる 中医学では「通じざればすなわち痛む」といって、身体中をかけめぐっている体液(気や血)が、何らかの原因で停滞すると痛みが生じると考えています。 通じさせる役目を持っているのは肝です。...
胃腸病 その10
胃腸病 その10 胃腸病の治療法 胃は悪いが腸は正常とはナンセンス。消化器系の臓腑は連動している 中医学では、胃腸をはじめ、膵臓・肝臓・胆嚢・小腸といった消化器系の臓器はすべて協調しあって連動しており、それぞれの臓器が単独で病気になることはないと考えています。...
胃腸病 その11
胃腸病 その11 もともと脾胃が弱い人には消化吸収力を助ける薬 いつも胃腸の調子が悪く、痩せて青白い顔をしている、なんとなく元気がない、疲れやすいという人は、体質的に胃腸が弱い人です。 受け入れも、吸収して利用する力も弱いため、食べたものが身にならなず、栄養を残したまま...
胃腸病 その12
胃腸病 その12 余分な水分が体内に滞っている場合 胃腸がもともと弱い人は、栄養代謝が悪いと同時に、栄養物が消化吸収されずに液状のまま体内に滞ったもの(湿)が体内に生じやすくなっています。 湿は、脾胃の消化機能をじゃまする性質をもっているので、からだの中に悪循環が起こり...
胃腸病 その13
胃腸病 その13 「寒い」胃潰瘍と「熱い」胃潰瘍 胃潰瘍を大きく分けると、ストレスや大きな悲しみから起こる急性のものと、胃弱から移行した慢性のものとがあります。 この病気はもともとなりやすい素質を持っている人が多く、いったん患うと、治りにくく再発しやすいという特徴があ...
胃腸病 その14
胃腸病 その14 過敏性腸炎は肝と脾の関係を整えて治す 心配ごとや悩みごとで胃痛を感じるのはよくあることですが、中には、試験日の朝になると何度もトイレに行きたくなるなど、精神的なプレッシャーを感じるとすぐ下痢をしてしまう人もいます。...
胃腸病 その15
胃腸病 その15 胃腸性のかぜには藿香正気散 かぜ薬に副作用には安中散 梅雨どきや夏など、高温多湿の季節にかかりやすいのが胃腸性のかぜです。 吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などの症状にともない、他のかぜと同じような呼吸器症状があります。...
胃腸病 その15
胃腸病 その15 食生活と胃腸病 胃腸を健康に保つことが長生きの秘訣 食事時間が不規則で夜寝る前にたくさん食べてしまう、長い時間食事をとらずに急に食べる、冷たいものの飲み過ぎ、辛いものや味の濃いものの食べ過ぎなど、胃腸の調子を崩すきっかけはたくさんあります。...
胃腸病 その16
胃腸病 その16 胃腸病が進行すると痛みの部位が固定化される 胃腸病がまだ軽い状態にあるか、それともすでにからだの深い部分にまで進行してしまったかは、痛みの状態である程度判断できます。 おなかが張って、そのあとシクシクと痛み、部位も決まっていないような時は、まだ病気が軽...
胃腸病 その16
胃腸病 その16 アルコールの「湿」と「熱」が脾胃に影響を及ぼす お酒好きの人にとって、胃腸とアルコールの関係は気になるところでしょう。 酒は「熱」の性質をもった飲み物で、少量なら血をめぐらせたり、生理代謝を整えるなど、からだにいい働きをします。...
胃腸病 その17
胃腸病 その17 二日酔いには藿香正気散がぴったり 酒を飲み過ぎると、次の日に吐き気や嘔吐、下痢といった胃腸症状が出ます。 よく、漢方胃腸薬や生薬配合のドリンク剤で二日酔いを治そうとする人がいますが、現在市販されている漢方胃腸薬のほとんどは安中散です。...
胃腸病 その17 最終回
胃腸病 その17 乳児の下痢・嘔吐は慎重に治療する 子供の胃腸病も、四~五歳になると、病態は大人と変わらなくなります。 そのため、治療も薬の量を少し減らす程度でよいのですが、乳児の場合は別です。 乳児のからだは、まだ形成の途中にあるため、臓腑の生理活動は未熟で虚弱です...