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執筆者の写真kampo shinsendo

こころの病 その10

こころの病 その10



病態の変化に応じて治療法が変わる その2



 また、のどに何かつまったような感じがして、飲みこんでも吐いても異物感がとれない症状は「梅核気」といい痰鬱に相当しますが、この場合には「半夏厚朴湯」がいいでしょう。



 表情がゆううつそうで、頭痛や頭のふらつき、嘔吐、耳鳴りといった上逆の症状があるときは、柴胡疎肝散に半夏と青皮を加えたものが適しています。



 エキス剤なら、「半夏瀉心湯」に少量の「呉茱茰湯」を合わせたものや、「四逆散」に「二陳湯」あるいは「半夏厚朴湯」を合わせたものを使います。



 また、悪心や嘔吐、ゲップ、胃の張りと痛み、大小便がすっきり出ない、腹痛、泥状便といった横逆の症状があるときは「当帰芍薬散」や「大柴胡湯」、「小柴胡湯」や「柴胡桂枝湯」「逍遥散」「四逆湯合六君子湯」などを選びます。



 不安感やイライラ、怒りっぽい、激しい頭痛、顔面の紅潮、目の充血、口乾、耳鳴り、難聴、苦い水や酸っぱい水がこみあげる、胸の脇が張って苦しい、胸やけ、便秘といった火鬱の症状があるときは、軽い場合には「療方調律」、重い場合には「竜胆瀉肝湯」が効果的です。



 長い間イライラや不眠、頭痛や頭のふらつき、視力減退、目の乾燥感、月経不順といった症状があり、すでに肝腎の陰虚が起こっている場合には、「杞菊地黄丸」を選びます。

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