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  • 執筆者の写真kampo shinsendo

こころの病 その12

こころの病 その12



基本物質の不足が臓腑の機能を低下させ不安症が慢性化する



 次に、心失所養のこころの病いについて考えてみましょう。



 脾の機能失調が長びいて働きが低下すると、心と脾の活動に必要な気や血が慢性的に不足(虚)した状態になります(心脾両虚)。



 心や脾の機能が低下している状況では、食欲不振や疲労感、不眠、どうき、健忘、驚きやすいといった症状が現れます。



 そのうえ、希望や願いがかなえられなかったり、家庭問題、仕事上の不満、心配ごと、精神的な緊張状態が続く、ささいなことでくよくよ思い悩むといった状態が続くと、憂愁や悲哀、恐れや驚きといった陰性の情志が、心神を傷つけやすくなります。



 このような心失所養の状態では、①心気虚、②心血虚、③心陰虚という、三つの病態が起こりやすくなります。



 心気虚と心血虚には脾や肝の機能失調が、心陰虚には肝や腎の機能失調が、それぞれ深くかかわっています。



 さらに病状が進むと、心神の魂と魄のバランスがくずれ、魂が魄をコントロールできなくなります。



 そのため、突然泣き出したり、笑ったり、わけのわからないことをいったり、ブツブツとひとり言をいうなど、異常な言動をとるようになります。



 これを「心神惑乱」といい、「甘麦大棗湯」の適応となります。 激しい場合は「百合地黄湯」や「百合知母湯」を用います。

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