よく風邪をひいたあと、いつまでも咳だけが残って相談にいらっしゃる方があります。
このようなときには、肺の機能を低下させている原因や、症状の違いをよく見極めて治療しなければなりません。
咳の原因と治療にはどのようなものがあるのか、それぞれのタイプに分けて考えてみましょう。
咳の原因とメカニズム
肺には、息を吸ったときの「粛降機能(しゅっこうきのう)」と、はいた時の「宣散機能(せんさんきのう)」があります。
粛降とは、きれいな空気を体内に取り入れたり、脾胃でつくられた気やエネルギーをからだのすみずみに行きわたらせることです。
宣散とは、肺のなかの汚れた空気をそとに出したり、体の表面に防衛力や体液を行きわたらせることです。
咳は、このような肺の機能が乱れて起こる症状のひとつです。
ふつう、風邪が治れば咳は出なくなりますが、何らかの原因がからむと、肺の機能がなかなかもとに戻らず、咳だけが残ってしまうことがあります。
原因としては、
①風熱・風寒・風燥などの外邪が肺にまだ残っている。
②胃腸(脾胃)や生命活動をコントロールする臓器(腎)の機能に問題がある。
③咳が残りやすい体質素因がある。
などが考えられます。
治療では、咳の性質や付随する症状から、外邪のタイプや、肺の状態や他の臓器との関係、体質などを診断し、そのときの状態に合う処方を使います。
それでは次回から、主な症状と実際について考えて見ましょう
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