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執筆者の写真kampo shinsendo

なかなか治らない咳 その1

よく風邪をひいたあと、いつまでも咳だけが残って相談にいらっしゃる方があります。



このようなときには、肺の機能を低下させている原因や、症状の違いをよく見極めて治療しなければなりません。



咳の原因と治療にはどのようなものがあるのか、それぞれのタイプに分けて考えてみましょう。



咳の原因とメカニズム



肺には、息を吸ったときの「粛降機能(しゅっこうきのう)」と、はいた時の「宣散機能(せんさんきのう)」があります。



粛降とは、きれいな空気を体内に取り入れたり、脾胃でつくられた気やエネルギーをからだのすみずみに行きわたらせることです。



宣散とは、肺のなかの汚れた空気をそとに出したり、体の表面に防衛力や体液を行きわたらせることです。



咳は、このような肺の機能が乱れて起こる症状のひとつです。



ふつう、風邪が治れば咳は出なくなりますが、何らかの原因がからむと、肺の機能がなかなかもとに戻らず、咳だけが残ってしまうことがあります。



原因としては、


①風熱・風寒・風燥などの外邪が肺にまだ残っている。


②胃腸(脾胃)や生命活動をコントロールする臓器(腎)の機能に問題がある。


③咳が残りやすい体質素因がある。


などが考えられます。



治療では、咳の性質や付随する症状から、外邪のタイプや、肺の状態や他の臓器との関係、体質などを診断し、そのときの状態に合う処方を使います。



それでは次回から、主な症状と実際について考えて見ましょう

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