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  • 執筆者の写真kampo shinsendo

なかなか治らない咳 その10

②肺陰虚



長期間にわたる炎症や慢性病、老化による消耗などで、肺の潤いである陰液が消耗したために肺気の粛降ができなくなって上逆し、咳が慢性につづく病態です。



水分不足や栄養不良などにより気道の分泌が低下して粘膜が滋潤されなくなり、少しの刺激でも咳がでやすくなり、その咳が刺激となってさらに咳が生じるという状態に相当します。



症状は、むせるような咳が慢性的に繰り返し出て、咽の乾燥感やいがらっぽい刺激感があり、潤いが少ないため痰は出ないかあるいは粘調で少量、ときに血が混じり、口の乾燥・舌質が紅く乾燥・舌苔は少ない・脈は細くて速いなどの症状がみられます。



治法としては、潤し栄養を与えることによって肺の機能を回復させ、咳を止める《滋陰潤肺・止咳》を行います。



処方は、麦門冬湯を使います。


                

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