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  • 執筆者の写真kampo shinsendo

なかなか治らない咳 その12

肺腎両虚



老化や慢性病などの消耗により、肺だけでなく人の体の根源物質といわれる腎精までも消耗してしまった病態です。



前項の肺虚が持続して腎に及んだり、腎虚から肺へ波及することにより起こります。



①肺腎陰虚



肺と腎の基礎物質である陰液が消耗することにより虚熱が生じ、潤いのない肺陰虚の咳がつづく病態といえます。



主に物質面がおとろえて栄養状態が悪化しているので脱水状態をともなって、さらに異化作用が増強することによって一時的な興奮や熱症状を呈する状態に相当します。



よく結核や慢性の気管支炎など炎症性疾患で多くみられます。



症状としては、慢性に反復するため咳や痰は少ないが、痰に血が混じったり甚だしいと喀血などの肺陰虚の症状と、腰や膝がだるく力がはいらないとか、頭のふらつきや耳鳴り、聴力減退、寝汗、手足のほてり、舌質が深紅で乾燥し苔が少ない、脈が細くて速いなどの腎陰虚の虚熱の症状がともないます。



治法としては、腎精を補いながら肺を滋潤することにより咳を止める《滋腎潤肺・止咳》を行います。



主な生薬は、補腎益精の生地黄・熟地黄・山薬・三茱萸、滋補肺陰の天門冬・麦門冬・百合などがあります。



処方は、八仙長寿丸(麦味地黄丸)・百合固金湯など。

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