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執筆者の写真kampo shinsendo

なかなか治らない咳 その14

水飲犯肺



先天的に虚弱であったり、老化や慢性病によって体力の消耗が原因で、脾による水分代謝あるいは腎による水液の気化作用がよわり、体内に停滞した水湿が水飲となって、その水飲が三焦を流れて肺にまで上昇し、肺気の働きである宣発と粛降作用を阻滞した病態です。



エネルギー代謝の低下と機能衰弱にともなって水分の代謝も悪化し、水飲が肺や気道に滲みだしてきて呼吸を阻害するために生じる咳に相当します。



症状は、慢性の咳、うすい多量の痰、甚だしいと呼吸困難などを起こしたり、つばやよだれが多く手足や背中が冷えたり、水飲のために胸苦るしさや薄い鼻水、白く水っぽい舌苔、脈が沈んで遅かったりします。



また、身体を温めるエネルギーが弱いために寒さや冷えにより咳が誘発されることが多く、風寒襲表によるかぜでは、寒け、鳥肌、頭痛、関節痛などがみられます。



治法は、原因となる水飲を温めて流動させ、利尿によって除き咳を止める《温化水飲・止咳》をおこないます。



主な生薬としては、乾姜・細辛・五味子・半夏・茯苓など。



処方は、苓甘姜味辛夏仁湯を使います。



風寒襲表をともなうときは、去風散寒の麻黄・杏仁・桂枝などのはいった小青竜湯がよいでしょう。

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