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執筆者の写真kampo shinsendo

なかなか治らない咳 その6

慢性の咳



外邪との関連は少なく、多くは身体の中からの原因により身体の状態が変化して次第に出現する咳であり、おりにふれて反復したり長期にわたって持続します。



外因重視の西洋医学の治療ではほとんど無効であったり、かえって病状を悪化させる恐れがあります。



Ⅰ 痰濁阻肺



「脾は生痰の源、肺は貯痰の器」といわれ、からだの水液を運化(吸収・輸送)する脾胃がうまく働かないため、水液が停滞して粘稠な「痰」に変化し、その粘稠な痰が肺に貯留して粛降を阻害し、肺気が上逆して咳を生じる病態です。



からだの中のなんらかの原因によって発生した痰が気道の通過を阻害して引き起こす咳に相当します。



① 痰湿



飲食の不摂生や精神的ストレス、感染症などさまざまな要因により、脾胃の運化が失調したために水液の停滞から痰を生じた病態です。



この状態が長引くと脾気が消耗して脾虚へと移行します。



症状は、白く切れやすい多量の痰や、痰を切るために咳をしたり、胸苦しいなどとともに、腹が張る・むくみ・吐き気・白くべっとりとした舌苔などがみられます。



治法は、停滞した水液を吸収・排泄し、新たに痰を産生させないようにする《燥湿化痰》を行います。



処方は二陳湯・平胃散・半夏厚朴湯がよいでしょう。

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