③ 痰熱阻肺
痰が鬱積して化熱したり、もともと痰をもつ人が熱病にかかって化熱したり、肺熱が長期にわたったため熱が水液を濃縮して痰を生じたり、精神的ストレスで気鬱化火するとともに水液の停留をひきおこして痰が化熱するといった、さまざまな要因で痰熱が形成されて肺気を阻滞し、咳が続く病態です。
痰が気道の通過を阻害するとともに、軽度の炎症をともなった状態に相当します。
かなりよくみられる病態といえます。
西洋医学的には消炎酵素剤・抗生物質などがよく用いられますが、主に内因性の熱(炎症)と痰であるために効果はあまりなく、逆に薬物が消化器系である脾胃の働きを損傷して、さらに内因性の痰を生じやすくすることから、多くは逆効果になります。
症状としては、長期に反復する咳・黄色く粘調な切れにくい痰や胸苦しさ、胸痛などのほか、口が粘る・口が苦い・咽痛・からだがだるい・腹満・黄色くべっとりした舌苔などがみられます。
さらに長期化すると熱によって陰液が消耗し・乾いた咳や非常に粘調な痰・のどの渇き・鼻や咽の乾燥・しわがれ声・黄色くべっとりして少ない舌苔など、肺陰虚の病態が混在することになります。
治法は、炎症をしずめ熱を冷まし痰の産生をおさえかつ除去する《清熱化痰》を行います。
清熱化痰作用のある柴陥湯や清金化痰湯などを用い、肺陰虚をともなう時は、さらに滋陰作用のある麦門冬・沙参・玄参などをふくむ清肺湯を加えます。
Comments