top of page
執筆者の写真kampo shinsendo

中医学で考える不眠症 その11

中医学で考える不眠症とは その11



気の小さい人がかかりやすい不眠症



 もともと気が小さく、心配症で、いつまでもささいなことにこだわってくよくよし、驚きやすく、こわがりで、すぐ泣くのは、「心気虚」があるからです。



 気がちいさいということは、決断ができないということにもつながります。中医学では、決断は「胆」が行うと考えますから、心の気血不足は、必ず「胆気虚」をともなうといえます。



 胆と、水液の通り道である「三焦」の関係は密接で、いずれも水液代謝に重要な役割をもっています。



 胆気虚になると、水液を全身に運ぶ力が不足するために「痰湿」を生みやすく、また表裏の関係にある肝に影響して疏泄機能を停滞させます。



 この結果生まれた痰と熱は結びついて痰熱となり、痰熱が上昇して神を乱します。



 このような「心胆虚怯」のタイプでは、不眠のほか、口が苦い、目がまわる、頭が重い、胸苦しい、ムカムカする、ゲップが出る、たんが多くなる、といった症状をともないます。



 心の気血両虚の上に痰湿があるため、舌質は淡色で膩苔が現れます。脈象は、弦を張ったような、しかもなめらかで弱い脈をふれるようになります。



 この場合には「加味温胆湯」を使います。

最新記事

すべて表示

中医学で考える不眠症 その1

中医学で考える不眠症とは その1   不眠症は、内臓の働きの異常を示す症状  中医学では、「臓腑」の機能が失調し、これが、「心」の働きを損なって、「神」が不安定になるため、不眠症が起こると考えます。  臓腑の機能失調の原因となるのは、外から侵入する「病邪」のほか、感情の変化...

中医学で考える不眠症 その2

中医学で考える不眠症とは その2 からだの内部の状態は総括して表現される  内臓や器官、組織といった、からだの内部の活動状態は、英知や動作、言語、目の輝きや顔の表情などとして現れます。  これらを総称して、中医学では「神(心神:しんしん)」といいます。...

中医学で考える不眠症 その3

中医学で考える不眠症とは その3 心の動きが、睡眠に影響する  「心は神を蔵す」というように、神が正常に表現されるかどうかは、心が正常に働くかどうかによって決まります。  また「心は五臓六腑の大主」というように、心はすべての臓腑の働きを統轄しています。...

Comments


bottom of page