中医学で考える不眠症とは その11
気の小さい人がかかりやすい不眠症
もともと気が小さく、心配症で、いつまでもささいなことにこだわってくよくよし、驚きやすく、こわがりで、すぐ泣くのは、「心気虚」があるからです。
気がちいさいということは、決断ができないということにもつながります。中医学では、決断は「胆」が行うと考えますから、心の気血不足は、必ず「胆気虚」をともなうといえます。
胆と、水液の通り道である「三焦」の関係は密接で、いずれも水液代謝に重要な役割をもっています。
胆気虚になると、水液を全身に運ぶ力が不足するために「痰湿」を生みやすく、また表裏の関係にある肝に影響して疏泄機能を停滞させます。
この結果生まれた痰と熱は結びついて痰熱となり、痰熱が上昇して神を乱します。
このような「心胆虚怯」のタイプでは、不眠のほか、口が苦い、目がまわる、頭が重い、胸苦しい、ムカムカする、ゲップが出る、たんが多くなる、といった症状をともないます。
心の気血両虚の上に痰湿があるため、舌質は淡色で膩苔が現れます。脈象は、弦を張ったような、しかもなめらかで弱い脈をふれるようになります。
この場合には「加味温胆湯」を使います。
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