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執筆者の写真kampo shinsendo

中医学で考える不眠症 その7

中医学で考える不眠症とは その7



全身の火と水のバランスがくずれて起こる不眠症



 心陰虚の症状に耳鳴りや腰・背痛、頭がくらくらするといった「腎精虧損」の症状が加わった状態を「心腎陰虚」といいます。



 このように、臓腑どうしの機能のバランスがくずれるために起こる不眠症もあります。



 その代表が「心腎不交」の不眠症です。



 心腎不交には、心の機能失調が腎に及んで起こるものと、腎の機能失調が心に及んで起こるものがあります。



 心が先に機能失調を起こす場合には、腎に影響が及ぶ前に不眠症が起こるので、腎陰不足の症状ははっきりしないことが多いのです。



 「心は火の臓、腎は水の臓」といわれるように、心陽は下降し、腎陽を助けて腎の機能を盛んにし、腎の陰精は上昇して心陰を補い、心陽が高ぶり過ぎないようにおさえるという関係にあります。



 心と腎は、助けあい、制約しあいながら、バランスをとって機能しているのです。



 腎陽は臓腑を温め、全身の活動を円滑にします。



 この生理機能を「相火」といいます。



 腎陰が損なわれ平衡を失った相火は、生理的な火から病理的な邪火に変化します(「相火妄動」)。



 そのため、生理的な相火の機能は障害され、水液を熱して目に見えないほど小さな栄養物質に変える「蒸騰気化」の作用が失調し、心の陽気を制御することができなくなります。



 心の陽気は心火に変化して、神の安定が乱されるために不眠がおこるのです。



 頭のふらつきや、耳鳴り、寝汗、のどの乾燥、イライラのほか、男性ではインポテンツ、女性では月経不順をともないます。また、舌質は紅く舌苔は少なくなり、脈は細く脈拍数が多くなります。



 このような不眠症には「天王補心丹」や「交泰丸」などを使います。

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