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執筆者の写真kampo shinsendo

中医学のかぜ治療法 その2

胃腸に症状が現れるしめったかぜは、暑い夏にかかりやすいため、強い発汗作用をもつ薬を与えると、汗をかき過ぎてこじらせてしまうおそれがあります。



そのため、ほんの少し発散させ、体液を失わないように補充しながら余計な水分を外に出す「かっ香正気散」がとてもよく効きます。



体力のある人なら、以上のような治療法で簡単に治ってしまいますが、防衛力の弱い人の場合は、栄養を体中にめぐらせる力を補いながら治療しなければなりません。



この場合には「参蘇飲」という薬がよく使われます。



元気のない子供のかぜにもぴったりの薬です。



また、老人のかぜの場合には「麻黄附子細辛湯」がよく効きます。



このように、かぜといっても、それぞれの症状に合わせて服用する薬が異なるのが中医学の治療法の特色なのです。



最近では、「葛根湯」がかぜに効く漢方薬として広く愛用されています。



症状としては、少しかぜが悪化して、頭痛がしたり、肩や筋肉がこるといったときに服用します。



そのときのからだの状態にあっていれば、1~2服で治ってしまいますので、あまり長く服む必要はありません。



また、麻黄のような強い作用をもつ成分も含まれていますので、よく効くからといって大量に服用すると、かえってこじらせてしまうことがあります。



あまりからだが丈夫でない人は服用を避けたほうが無難です。



鼻炎の症状が残ってしまったかぜには、「小青竜湯」が効く場合があります。



小青竜湯は、もともと気管支喘息やアトピー体質の人に使われる薬ですが、からだの状態に合えば、鼻炎もぴたりとおさえる力をもっています。

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