李老中医 危急重症難病治療経験
その17
重症急性結核性胸膜炎
(一)
趙家明、男、27歳。霊石水谷炭鉱会計。1983年、8月24日初診:晋中二院X線写真報告:“重症両側結核性滲出性胸膜炎、胸水。”両側胸部は1~3割の外は全て胸水に覆われている。患者は胸水の摘出を拒絶し、戻ってきたが既に歩くことはできずその兄が荷物運搬用の小さな車で連れてきて治療を求めた。
病はすでに一カ月余りになるという。最初は感冒に似て悪寒発熱し、疲れる仕事が終わる秋になってもなおそれは続いた。だんだんと胸悶や肋骨痛、寝汗が止まらなくなり咳嗽も激しくなる。ここ三日ほどは胸が石板で押さえつけられるようで鬱陶しく呼吸ができずとりわけ深呼吸ができない。吸ったりはいたりすると胸が針で刺されるように痛む。一日の食事は3両(約113g)にも満たない。発熱し眼窩は深く窪んで憔悴しきった表情である。話すことが困難でその兄が代わりに応えた。すでにストレプトマイシン注射を10数日したが無効だった。その家は炭鉱から僅かに500mしか離れていないのに、仕事が終わってから4時間もかけてやっと家にたどり着くほど。脈細数で秩序なく132拍/分。心神は動揺しており、舌辺や舌尖は瘀斑で覆われ、唇や舌の色は青い。これは重症な懸飲に属し本当は十棗湯で峻攻逐水するが、どうしても遅れて治りきらないのは正気が支えられないからである。そこで瓜萎薤白桂枝湯合千金葦茎湯・丹参飲の合方を加減し、活血行気し胸陽を振い起し化飲する:
瓜萎30g、薤白15g、白酒100ml、桂枝15g、丹参30g、檀降・木香各10g、砂仁5g、生薏苡仁・芦根各30g、桃仁・杏仁泥各12g、甘草10g、冬瓜仁60g、三剤。
8月28日二回目の診察:上薬を当日2時間に1回服用させ、日夜連続して6剤を飲みつくすと、そのあと尿量は特に多くなり一夜にして1500ml以上、次の日12時までに3剤を飲み終わり、熱は引き胸痛・肋間痛・頻咳・気短などことごとく癒え、一日の食事も1キロを超えるほどとなった。患者は異常なほど喜び、城里から村に帰る5キロの道も僅か45分を費やしたにすぎなかった。ただ夜に入ってなお寝汗と咳嗽がまだ残り、舌光紅無苔でこれは気陰自傷なので、原方に太子参30g、赤芍15gを加えた。3剤服用後全て癒えた。
(二)
土産公司運転士張志明、24歳。1979年秋に結核性滲出性胸膜炎を患い、手足が短く痰湿の体型、肥満で顔色は灰色を帯びている。本人は幼いころ気管支炎を患い寒がりの汗かき、喉には痰鳴音さらには激しい咳と胸悶痛があり、舌は白膩で渇きはなく、脈弦遅58拍/分、これは元陽久虚に属し外寒内飲で陰邪の陽位窃盗にあたり、まず加味小青竜湯で宣化上焦する:
附子15g、炙麻黄鬚10g、杏仁泥12g、厚朴・桂枝各10g、赤芍15g、炙甘草10g、殻白果打21枚、炙紫苑・冬花各12g、生半夏20g、乾姜・五味子・細辛・紅参各10g(砕いて小さな塊を呑む)、鮮生姜10片、大棗10枚。
上薬を2剤服すと外証は全て除かれ、喘咳は癒え痰鳴も消失した。続けて下方5剤を与える:
瓜萎30g、薤白・桂枝各15g、白酒100ml、桃仁・杏仁各12g、生半夏20g、丹参30g、檀降香・木香各10g、砂仁5g、生薏苡仁45g、冬花仁60g(打)、沢瀉15g、日経10g、茯苓30g、炙甘草10g、鮮生姜10片、大棗10枚。
上方服用後、胸はすっきりして積液は吸収され癒えた。
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