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執筆者の写真kampo shinsendo

中医火神派 李可老中医医案翻訳 その23

李老中医 危急重症難病治療経験


その23



血栓閉塞性血管炎の同病異治 



――仲景の運用した毒劇中薬烏頭附子の経験




  霊石城関派出所所長、高興亮、51歳、患者は1941年に抗大学員を護送し治安を計りに赴いた時、途中山西寧武県の摩天嶺で厳冬の大雪で山に閉じ込められ、深い雪で膝まで没し凍死者7人、多くの人が凍傷によって手足の指を失った。本人は幸運にも肢体共大丈夫であったが、ただ酷い凍傷を受けた。1966年に両下肢の冷痛が発現し、何回も入院治療をしたが無効で1976年にはさらに病状の悪化へと発展した。山医の一・二院と省人民医院など5か所の大医院に7カ月入院した。確定診断は脳動脈硬化・心筋下壁梗塞・両下肢血栓閉塞性血管炎だった。その後晋中二院に赴き下肢出血療法を10数日にわたって受けるが無効で、足を切断するように意見された。絶望の下、患者は1976年9月7日余に救いを求めた。診察すると両下肢の膝から下が氷の様に冷たく、特に左側が重く足首は青紫色で、電撃様の激痛が日夜休まず続き、左上下肢は麻痺していた。胸部は脹塞刺痛し、発作時にはニトロで押さえていた。脈は沈細遅微、両足背動脈消失。顔色は暗くくすんだ青白色で、寒がり精神は倦怠。この証は寒邪が血分深くまで潜伏することで血脈が痺阻し、真心痛及び重症の脱疽となった。かつ病歴は30年の永きにわたって沈寒痼冷の頑症となっているので、大辛大熱で十二経表裏内外を温通する烏頭・附子の様な猛将でなければ任に堪えることができない。そこで当帰四逆加呉茱茰生姜湯合烏頭湯に、絡に入って捜し削ぎ取る虫類と、汚れたものを除き窮を通ずる麝香を加え、合わせて大辛大熱で開氷解凍し、益気破瘀・通絡定痛の剤となす:


  生黄耆240g、附子・当帰各60g、川烏頭・丹参・黒生豆・川牛膝・防風各30g、麻黄・桂枝・細辛・赤芍・桃仁各15g、油桂10g、呉茱茰20g(熱湯で7回冲洗)、別に麝香1g、炮甲珠5g、生水蛭3g、全虫3g、蜈蚣2条を削って粉にし分冲、蜂蜜150g、鮮生姜40g、大棗20枚。


  水2,500mlを加えとろ火で煮て500mlを取り、これに黄酒500mlを入れて日中3回夜1回の4剤を服用する。


  余はその家に住み込み片時も離れず、家人らは安心した。1剤を服用しただけでその夜はぐっすり安眠できた。また続けて3剤服用し諸症状はほとんど退く。原因の左足大腿内側の潰瘍また傷口も塞がり、心絞痛及び下肢電撃様激痛もまた消失した。その後患者は毛冬青針15箱を注射して遂に全快した。1999年の冬に訪れると、患者は既に76歳の高齢になっていて協助街道居委会の仕事を辞め、現在は介休市土産会社の宿舎に住んでいた。


                                 続く

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