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  • 執筆者の写真kampo shinsendo

中医火神派 李可老中医医案翻訳 その47

李老中医 危急重症難病治療経験


その47



四、老年の高位腸梗阻と疝嵌頓の合併症


  



  公安局李継光の叔父、65歳、城関院に入院中の病人で1983年11月3日診察。病程は8日間で、入院は2日間。レントゲン検査で剣上突起と同じ線に液体面がある;右側の睾丸腫痛を検査し、嵌頓(3日)による頻繁な嘔吐と二便閉結、さらに放屁もない。胃腸減圧・浣腸しても効果なく、手術するつもりだったが家族は中薬による治療を要求した。患者は高齢でありしかも大便不通の重症が10日も良くなっていないが、体質はまあまあである:


  1.生白大根2.5kg、芒硝120g;


  2.代赭石粉50g、旋覆花15g(包)、生半夏・厚朴各30g、枳実・木香・沈香・甘草各10g、鮮生姜30g、紅参15g(別に弱火でゆっくり煎じて混入);


  3.生山楂子30g(煎湯)、紅糖15g、白酒は1分間燃やした後火を消して、真広東省の木香を削った粉3gを穏やかに煎じ均等に混ぜ合わせて準備しておく。


  上薬の方1と方2を決められたように煎じて均等に混ぜ合わせ、できた汁800mlをまず300ml服用させ、その後2時間毎に200mlを与え吐き気が止まり、便が通じたら今度は方3を1回服用させれば疝嵌頓は癒える。


  11月4日二回目の診察:一回目を服用後吐き気は止まり、二回目を服用後には腹中がゴロゴロし始め頻繁に放屁が出たので、方3を頓服で1回加えると約15分後には便が通じた。今朝のレントゲン検査で液体面は消失し、疝嵌頓は方3を服用後20分で癒え退院した。


  11月7日李継光より夜明けに往診の依頼があった。話では退院の当日、帰り道で冷えを感じしゃっくりの発作が始まり、現在まで28時間続いて止まらないという。15分後診察すると患者の顔色は青白く、精神疲労がこらえられないようで、脈遅細60拍/分、舌胖で潤、四肢末端は冷たい。臍下から冷気により頻繁に上攻されると声は低く息は短くなる。長患いで現れるしゃっくりは危険で、これはとても風冷による小さな病気では絶対にない。一生牧羊のように内傷の積損を知るべきである。初診の診察失敗は、65歳の高齢で格別の危機的状態にあって一日中芒硝120gを服用させられたため、脾腎の元陽は大きく消耗し冲脈が下焦を守ることができなくなった。亡陽厥脱の変化があることを恐れ、急いで温腎し冲脈を安定させ厥脱しないように固摂する:


  附子30g、油桂6g(冲服)、沈香・砂仁各10g、紅参(別に弱火でゆっくり煎じて混入)、山薬30g、雲苓15g、紫石英30g、澤瀉・懐牛膝・公丁香各10g、柿蔕30g、生姜汁1杯、山茱茰肉60g。


  急いで煎じ何回も飲ませ、その日のうちに2剤を飲み終えた。


  余は病床で見守りながら大艾柱灸で神闕を30分すえ、薬を1回服用後しゃっくりは止まり、四肢は温かくなり空腹を覚え危機を脱した。生白大根と芒硝は本来正を傷つけるものではないし、ましてや紅参の扶正があれば異変があることがおかしい。農民の生活は困窮であり薬物を捨て去ることが惜しまれたため、便が通じた後も最後まで結局2回も多く服用して、危ない目に遇ったのは不測の事態である。そこで余は医師に周知しなかったことの過ちを注意した。


                                             続く

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