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  • 執筆者の写真kampo shinsendo

中医火神派 李可老中医医案翻訳 その49

李老中医 危急重症難病治療経験


その49



七、胆石症の絞痛



  公安局幹部景宏元、45歳、1985年8月17日夜来診。患者は強烈な右肋骨痛が3日、県医院の超音波診断は胆結石で、胆嚢内には大小不揃いな結石が6個、大きいものではトウモロコシ粒、小さいものでは小豆の如くであった。すでに手術が決まってはいたが、本人は先ず中薬の服用を要望した。直ぐに患者を診察すると正に激しい痛みと便は結して腹脹し、頻繁なる排尿の度に痛んだ。先ず針を刺すを以って胆経欝火を清瀉するため、陽陵泉から陰陵泉まで行瀉法を施すと約10分で激痛は緩解した。


  患者は平素から酒を嗜みまた甘く肥るものを好食し、脈滑数、舌苔黄厚、証は湿熱積久化火に属し、胆石が胆道を阻滞しているので清熱利胆を与え排石する:


  柴胡25g、白芍45g、赤芍30g、枳実・郁金・滑石・海金砂・大黄各30g、黄連・山梔子・木香各10g、桃仁泥・甘草各15g、川牛膝30g、乳香3g、鶏内金10g、醋元胡5gを研磨し粉にして冲服、芒硝15g(分冲)、大葉金銭草120g。


  これらを煎じて600mlを取り、朝晩に分けて3剤を服用。


  8月21日二回目の診察:上方を服用後毎日膠粘な灼熱性の大便を2~3回瀉下して痛みは止まった。芒硝を去り大黄を10gに減らし続けて3剤服用。


  8月25日三回目の診察:合計6剤を服用後再び超音波検査を行うと、結石は泥砂状と化した。食欲精神共に正常人の如くになった。毎日鶏内金粉21gの服用を云いつけ、また金銭草60gを煎じて一日3回服用し10剤で全快した。1997年に追訪したが一切変わりがなかった。



  注釈:急性胆嚢炎及び胆石症の絞痛発作は疼痛が強烈で、陽陵泉は胆経下の合穴であり止痛効果は極めて良好である。或いは复方冬眠霊1本を穴位に注射してもその効果はまたいい。余は上の針薬併施を以って数十例の急性胆嚢を治療したが、どれも一回で治り再発もない。胆石症のあるものは徹底排除ができるが、まだなお結石が残るときも泥砂状に溶解し徐々に排除される。但し治療によって臨床症状は消失し手術は全て免除となった。



八、胆道回虫症



  閂引弟、女、45歳、水頭村二隊社員。1977年4月9日余が城関衛生院に任職時に急患として入院。右上腹部絞痛が1週間、県医院内科では胆結石を疑い、省医院へ転院して手術を具申した。患者を診察すると顔色は灰暗、冷や汗が滴り嘔吐止まず右脇の激痛7日、1日に4~5回の発作がある。発作時には寝床を転げ回り呻き声が絶えず、間歇時でも隠痛が休みなく続く。四肢厥逆し脈伏、舌苔黒膩。両頬には丸い白斑があり;両鞏膜の下端には蘭色の条状紋を見ることができ、先端は火柴頭のようである;下唇の内側には白疹が満布している。上の三点は虫症の特徴であり、寒熱錯雑型の蛔厥症と判断して治療する:


  附子15g、呉茱茰・川黄連・乾姜・枳実・細辛・川椒・生大黄・木香各10g、烏梅・代赭石粉・苦楝根皮・党参・炙甘草各30g、芒硝15g(分冲)、生姜汁30ml、蜂蜜120g。


  上薬を煎じた濃汁600mlに、蜂蜜を入れ煎じよく沸騰させそれに生姜汁を混ぜあわせ、2回に分けて3時間毎に1回服用し、服薬後30分したら芒硝を服す。


  上薬を1回服用後腹痛嘔吐ともに止まり、7日目にして初めて安らかに寝られた。夜半に目を覚まし2回目の薬を服用し、芒硝も冲服した。10日の早朝5時に回虫を吐出し、6条の回虫を瀉下したので10日の午後には原方3剤を携えて退院した。ただ原方から硝黄・代赭石を去り使君子仁20gを加え二度煎じよく混ぜ合わせ、毎朝空腹時に先ず使君子仁を食べてから蜂蜜水を1杯飲み、頓服にて湯液を服用する。毎日いつも回虫の排泄がありその症はついに癒えた。


  古人が謂うには、回虫は“酸を得ればすなわち隠れ、苦を得ればすなわち安らか”なりと。余が胆道回虫を治す時は必ず蜂蜜及び生姜汁を加え、その“甘を得ればすなわち喜なり、辛を得ればすなわち散なり”を採用する。烏梅は明らかに痙攣を緩解させる作用がある。歯を硬く閉じている様な時に烏梅を擦りつけることでたちまちにして解ける。更に現代薬理学研究においても、烏梅は胆嚢を絶え間なく収縮させることや胆汁分泌促進ができ、胆道に潜り込んだ虫体を退出させることができる。


                                       続く

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