李老中医 危急重症難病治療経験集
その8
肺結核合併肺心病(戴陽の危険証)
英武薛発祥の母、68歳、伝染科入院中患者。最終診断:1.肺結核;2.急性感染症併発肺気腫。血沈90㎜、白血球数15650、中性球91、リンパ球9。抗結核・抗菌治療が無効だったので中医師の協力を要請。
診察した患者は両頬があでやかな桃の花のようであり、両目の精神はうつろで、発熱・煩躁して喘咳は一カ月余り。寝汗、口渇し温かいものを欲しがり、両膝は極めて冷え、心は動揺し、六脈は細数で秩序なく、心拍数は132拍/分、舌淡。患者の齢は古希に近く腎の元はすでに虚となって、さらに長患いも手伝って消耗した上に清熱涼剤の服用過多で、上盛下虚から戴陽格局となってしまい、いまにも陽が脱する心配がある。急いで固腎斂肝、引火帰原、納気帰根を以って治とする:
山茱萸肉90g、紅参(別にとろ火でゆっくり煮る)15g、生竜牡・白芍隔30g、炙草15g、油桂3g、附子30g。
上剤を連続して3剤服用後危機を脱し、退院し家へ帰り静養する。
考察:戴陽証は下元が極めて虚となっていて真陽が下元を守ることができず、上へ浮遊し陰盛格陽の危険な症候である。また秦艽や鼈甲の類の使用過多は、肝気を開破してしまい肝虚となって収められなくなる。故に参附竜牡救逆湯に張錫純氏の来復湯を合わせ、さらに油桂を加えて下焦を固摂し温納浮陽させ、その上に山茱萸肉を用いて斂肝固脱する。もし西医の診断にしたがって清熱解毒・養陰退蒸の剤を投与していれば、必ず亡陽暴脱してたちまちの間に生命に変化があるだろう。中西医結合で判ったことは“番号通りに座席につくとか、あるものを根拠にして探し求めるとか”などは中医には絶対できない。数多くの状況のなかで弁証は独立していてみな別に新しくやることが必要である。その道に反して行えば甚だしく時間を費やすことになる。本例は時刻に重要なポイントがあり、きっぱりと患者の証に随い患者の生命を救うことができ、正にここに中医学の特徴と特色が存在する。
特発性の肺間質繊維化医案(二則)
本病は臨床において少ししか見られず病理は不明。現代医学にとっても本病に対する有効な治療法はないし、かつ病状は不可逆で発病してから2~4年で死に至る。肺の移植手術を採用しても、費用が高騰しているばかりでなく手術後の生存期間が僅かに2~3年で、世界医学の新しく増えた分類の中で難治症の一つとなっている。
本病の初期は慢性気管支炎に類似し、反復して発作を起こし痙攣性で劇烈な咳喘がその主証である。確定診断がついた時にはもう末期に属している。末期には例外なく肺心病を合併して、最後には全身衰弱・心臓衰弱・呼吸衰弱で死亡する。本病の進行過程と中医学の肺痿・肺結核・痙攣性咳嗽・喘症などは相似しているところがある。筆者は最近二例の危篤の患者を救治したが、それは破格救心湯の変方に似せた処方を用いて病人の生命を救うことができた。緩解機にあっては培元固本散変方をもって先天の腎気を峻補し、重ねて人体の免疫力を建て直し、繭から糸を紡ぐような極めてゆっくりした方法で湿痰を化し貧血を改善し、それによって病勢の悪化を阻止し患者の生存価値を向上させた、これは可逆性転化の機会が出現したらしくもっと深く研究するに値する。いまここに医案を以下のように抜き書きする:
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