【不快感をともなわない便秘】その①
便秘していてもあまり不快感をともなわないのは、正気が不足していて強い反応を示すことができないためで、「虚秘」(元気不足の虚の便秘)に属します。
腸管が弛緩して、腸の蠕動運動があまり起こらないといった病態です。
【気虚不運】
先天的虚弱・慢性病・老化などにより気が虚し推動力がなくなった病態です。
機能が衰えて腸管の蠕動運動が弱くなり、糞便を押し出す力が足りないために便秘し、腸管での吸収も不十分なために便は軟らかいことが多いです。
この場合、一般的に下剤といわれる西洋薬や漢方薬のどちらも効果が無いか、かえって激しい腹痛や下痢などの副作用にみまわれるため、対処できずに困っている人がよくみられます。
症状は、排便が困難で、いきんだり腹を押さえたりして大変な努力が必要で、甚だしいと三十分から一時間という長い時間トイレに入っていることもあり、排便に疲れ果てる人もいます。
便は出始めに硬いだけであとは軟らかく(先硬後軟)、疲労倦怠・脱力感・疲れやすい・元気が無い・立ちくらみしやすいなどの気虚の症状をともないます。
この病態に無理に下剤だけを使用すると、下剤によってさらに元気が虚して、下剤を使えば使うほど便秘がひどくなっていきます。
「やせ馬にムチ打つ」のと同じで、少しは動くことが出来てもそれ以上は動けなくなってしまいます。
やせ馬には十分な栄養を与え、動ける体力を養う必要があります。
高齢化社会になるにしたがって、このような便秘で悩んでいる方が多くなっているように思います。
治法は、元気をつけて蠕動運動を強め、便を押し出す力を高める《補中益気・通便》を行います。
処方は、補中益気湯(加大黄)・補中益気丸。
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