更年期障害――中医学の考え方 その3
生命活動の原動力のおとろえが更年期障害のきっかけになる
月経をはじめ、すべての生命活動の原動力となる腎の機能を「腎気」といいます。腎気は、「陰」(物質的要素)である精(腎精)と、「陽」(機能的要素)である気からなります。
精は生命活動のおおもととなる基本物質で、腎にたくわえられます。
もともと両親から受け継いだものですが、この「先天の精」は消耗されて不足するので、「後天の精」で補充する必要があります。
後天の精は脾胃でつくられ、原料は飲食物です。
精は腎から他の臓器に送られ、加工されたりつくり変えられて、気や血、津液になります。精が十分にあり、腎気が活発になってはじめて、五臓も正常に活動することができるのです。
四十九歳前後になり、腎気がおとろえはじめると、まず月経が不規則となり、やがて止まります。
同時に、精の供給量が減るので、五臓の機能はおとろえます。
しかし、これらは生理的な現象ですから、臓器の陰陽や気血のバランスが調和していれば、年齢に応じて気力や体力が低下することはあっても、病的な症状が現れることは、ほとんどありません。
ところが、更年期に入る前から陰陽や気血のバランスが限度を超えて失調していた臓器は、精の不足をきっかけにストレスを受けやすくなり、その結果、精神的・肉体的な症状が起こるようになります。
更年期に入って突然さまざまな症状を訴える人がいますが、実はかなり以前から、すでにある臓器の陰陽や気血のバランスがくずれているのです。
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