更年期障害――中医学の考え方 その8
精神的な原因で起こる更年期障害の症状と治療
本来とは違う機能が引き起こす症状(気逆)
気の滞りが続いて肝の機能が異常に亢進すると、本来とは違う方向に働くようになります(「気逆」)。気逆には、からだの上に向かう「上逆」と、脾胃の機能を損なう「横逆」があります。
上逆による頭のふらつきや頭痛、胸脇の不快感、顔面紅潮、難聴、耳鳴り、嘔吐には、「半夏瀉心湯」に「呉茱茰湯」を少量合わせたもの、四逆散と「二陳湯」または半夏厚朴湯の合方、柴胡疎肝散に半夏と青皮を加えたもので肝の機能を高め気逆をおさえます。
横逆が起こると、栄養素を肺に送る脾の機能と、不要物を大腸に送る胃の機能が乱れ、腹の張りと痛み、ゲップ、酸っぱい液がこみあげる、むかつき、嘔吐、大小便がすっきり出ない、泥状便などの症状が現れます。
治療は、肝の機能を回復して脾胃の機能を高め、気血を補う「当帰芍薬散」や「逍遙散」「小建中湯」「補気升陽」、「大柴胡湯」「小柴胡湯」「柴胡桂枝湯」で行います。胃の症状が強いときは、柴胡疎肝散に「左金丸」を合わせ、肝と脾胃の機能を高めて横逆をおさえると効果的です。
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