夜尿症の3回目、夜尿症の治療法について考えて見ましょう。
頻繁に夜尿を起こす場合の原因には2つあります。
1つは、腎の機能障害、もう1つは脾と肺の気の不足です。
ではまず腎の機能障害から考えて見ましょう。
ある程度の年齢になっても、からだを温める腎陽の機能が劣っていると、頻繁に夜尿を起こすことがあります。
この場合、冷たいものを飲んだり、からだが冷えたりすると、症状がひどくなるという特徴があります。
尿の色は薄くて透明に近く、昼間も頻尿を伴う場合があります。
このようなときには、腎の機能を高めながら、尿が漏れるのを防ぐ『桑螵蛸散』が適しています。
この処方は、心の機能を高める作用もありますので、こわい夢を見てや尿を起こす子供にも効き目があります。
また、腎陽の機能を高める『八味地黄丸』もよく使われる漢方薬です。
腎全体の機能を整える働きがあるため、夜尿の場合は膀胱の約束機能を高め、尿がうまく出ない場合は利尿に働くという特徴があります。
腎を温めることによって、膀胱の機能を高める漢方薬としては、ほかに『縮泉丸』があります。
熱による夜尿以外であれば、かなり幅広く使える薬です。
八味地黄丸と合わせて使うとさらに効果的です。
[補足]
腎の働き・・・腎は、人間の成長や発育、生殖や老化を司る臓器で、生命エネルギーのおおもとである『精』を蓄えている。また、全身の水分代謝を調節し、排尿をコントロールしているため、膀胱とは密接な関係がある。
腎の中の陰と陽・・・腎は、「水」と「火」からなっていると考えられている。水にあたるのが腎陰、火にあたるのが腎陽で、陰陽のバランスがとれているのが正常な状態です。腎陰は体内の水分や精をさし、腎陽はからだを温める原動力をさします。このうち、腎陽の働きが低下すると、相対的に腎陰の勢力が強くなり、からだが冷えたり、水分代謝に異常が起こったりする。
心の働き・・・心という臓器には、ポンプ作用によって血液を循環させる働き以外に、意識や思考活動など、「こころ」の働きを司る部分があると考えられている。そのため、こわい夢を見る、驚きやすい、眠れない、といった症状は、「心の働き」にかかわることが多い。
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