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執筆者の写真kampo shinsendo

耳鳴り その17

慢性的に起こる耳鳴りの症状と治療



乾燥が進み、熱によって慢性の耳鳴りが起こる



 精が血に変化し、血が精から生まれ、精が腎に、血が肝にたくわえられるというように、腎と肝は密接な関係にあります。



 したがって、腎の精や津液が不足すると、肝の血や津液も不足して(「肝腎陰虚」)、耳が栄養不良の状態になるので、耳鳴りが起こります。



 これは、陰虚が一段と進行した状態で、相対的に熱がさらに強くなって乾燥度の高い「燥熱」に変わるため、頭のふらつきや張り、めまい、視力低下、不眠、無汗、口やのどの乾燥、手足の熱感、月経異常、腰やひざのだるい痛みといった症状をともない、舌が紅く乾燥ぎみで、脈が無力で細く弦を張ったようになります。



 このときは、肝と腎の精と津液を補って熱を冷ます「杞菊地黄丸」や「天麻鈎藤飲」などが効果的です。



 なお、肝と腎には、全身を温めて物質代謝を行う生理機能(「相火」)がありますが、肝腎陰虚が進むとこの機能が亢進し、病因物質である火邪に変化して経脈を塞ぐため(「相火妄動」)、急性の激しい耳鳴りが起こることがあります。現れるのは火(実)の症状ですが、原因は肝と腎の血と津液の不足(虚)にあるので(本虚標実)、肝と腎の血と津液を補って熱をおさえる「清蒿鼈甲湯」や「大定風珠」「当帰六黄湯」などを使います。

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