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執筆者の写真kampo shinsendo

胃のつかえ その13

胃のつかえ その13



消化吸収力のおとろえが進み冷えの症状が加わる 



 脾胃虚弱の状態が進むと、からだを温める力のおおもと(陽気)が不足するため、からだが冷えて(陽虚生寒)、胃のつかえ・腹の冷え・下痢・舌が淡い色になって水っぽい苔がつく・脈が遅いといった症状が現れるようになります。



 この場合には、からだを温めながら脾胃と肝の機能を回復する「呉茱茰湯」を使います。



 また、生まれつきからだを温める力が不足していたり、大病や老化などによってからだを温めることができなくなってしまった時は(腎陽虚)、脾胃の機能を高めながら全身を温めて冷えを取り除く「理中湯」や「扶陽理中湯」などで治療を行います。



 もともとからだを温める力(陽気)が不足している「陽虚」の人が風邪をひき、治療が不適当で十分に発汗しきれないと、体表の防衛力(衛気)がからだの内側に向かいます。衛気が心下にとどまり、外に向かわないために機能が十分に発揮できないと、脾胃の昇降が失調して胃がつかえるとともに、悪寒・いつも眠い・強く押さえると弦を張ったような脈をふれるなどの症状が起こります。



 このときは、心下の熱を除いて胃のつかえを解消するとともに、陽気を補ってからだを温める「附子瀉心湯」が効果的です。

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