ノロウイルスによる感染性胃腸炎に罹った方が急増しています。
本来は命にかかわる病気ではありませんが、突然に激しい嘔吐、下痢、腹痛に襲われ、その後発熱します。
ノロウイルスは生存能力が非常に高く、水中でも、乾燥しても、死なない。
エタノール消毒も歯が立たない。(塩素系漂白剤が効果あります。)
人に感染すると小腸で増えて下水道から海へ流れ、カキなどで濃縮されて再び人に感染する。(85℃で1分間加熱すれば感染性はなくなります。)
ウイルスが大量に含まれている感染者の吐いた物や便からも感染する。
抵抗力の弱い子どもや高齢者は重症になることもある。
罹った時の対処法で気をつけなければならないことは、脱水症状を心配して冷たい飲み物を飲ませたり、栄養をつけなければと食事をさせるのは、胃腸が弱って「休みたい」といっているわけですから、一番してはいけません。
吐いているわけだから、まず食べさせずに胃を休ませる。
そして、数時間は様子を見ながら、水分だけを補う。
ただし口当たりのいい冷たいジュースなどは、かえって胃を刺激して、逆に吐く原因になることもあるので注意が必要です。
誰でも経験があるように、吐き戻しが一番体力を消耗し脱水症状になりやすいのです。
脱水予防には、暖かい番茶を一口ずつ、何回にも分けて与えることです。
点滴の要領で、ほんの少しずつ与えてください。
二次感染の予防も大切です。
基本的なこと、まずは①食事前とトイレ後には必ず石鹸で手をよく洗う
②便や吐いたものを処理する時は、使い捨てのビニール手袋を使う
③便や吐いたものはすぐふき取り、必ず塩素系の家庭用漂白剤で消毒し、乾燥させない。
下痢が治まっても、ウイルスは便に混じって1週間以上出ますのでお子様の場合は学校や幼稚園など、4,5日休ませたほうがいいでしょう。
ノロウイルスは変異しやすいウイルスなので、免疫ができにくく西洋医学では特効薬はない。
こんな時中医学では次のように対処します。
感染初期:嘔吐、下痢には『藿香正気散』に、殺菌解毒作用のある『五行草』、抗ウイルス作用のある『板藍根』を使います。
発熱期:下痢、嘔吐が少し落ち着くと熱が出ますので『銀堯散』を加えます。体力の消耗が激しい方には『西洋人参』を加えます。
回復期:嘔吐下痢は止まったが食欲がない、お腹が張る、疲れやすい・・・そんな方には『麦味参顆粒』、『焦三仙』、『補中益気丸』、『香砂六君子湯』など補気剤と建脾剤を併用します。
家族がウイルスに感染するのを防ぐには、板藍根を煎じたお茶を飲ませます。
板藍根とは、アブラナ科の植物・菘藍(ホソバタイセイ)の根で、抗菌作用、抗ウイルス作用、解熱作用、解毒作用などにすぐれた生薬として知られています。
板藍根は空気にさらすと酸化して藍色になることから、日本でも古くから藍染めの染料として用いられてきました。
藍染めは、色合いの美しさが特徴ですが、実は、解毒・消炎作用があり、切り傷や虫刺されから身を守ることができるので、農民の仕事着や武士が鎧の下につける下着として珍重されてきたのです。
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