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  • 執筆者の写真kampo shinsendo

胸の痛みと心臓病 その5

胸の痛みと心臓病 その5



イライラしたり怒ったときに軽い胸の痛みが起こる



 カッとしたりイライラすると、一時的に胸が痛むことがあります。



 これは、過度の感情の変化(喜・怒・憂・思・悲・驚・恐)が原因となって、全身の活動を調節する「肝」の働きが低下し(気滞)、血液の流れが滞って、心を流れる血液が一時的に停滞するからです(心胸気滞)。



 胸のあちこちがシクシクと張ったように痛んだり、重苦しくなってため息をつくようになり、情緒の変化が強くなると胸の痛みが強くなります。



 また、胸の脇や胃のあたりが張って痛み、ゲップやおならが出ると痛みがやわらぎます。



 舌には薄い苔あるいは薄くべっとりとした苔がつき、糸のように細い弦を張ったようなはっきりとした脈をふれます。



 このような場合には、肝の機能を回復するとともに、血液の流れをよくして痛みを止める「柴胡桂枝湯」や「小柴胡湯」「大柴胡湯」、「柴胡疎肝散」「四逆散」などを選んで使います。



 症状がくり返したり、時間がたって肝の損傷が進み、症状がやや強く現れたり、のぼせやほてりなどの熱症状をともなう場合には、肝をうるおしながら熱による症状をおさえる力の強い「療方調律」を使うといいでしょう。

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