top of page
  • 執筆者の写真kampo shinsendo

胸の痛みと心臓病 その7

胸の痛みと心臓病 その7



 これは、体内にある痰飲が、同じ性質をもつ湿気を引き込んで心の血液の流れをさまたげる力が強くなるからです。



 透明で水っぽい痰がたくさん出たり、食欲不振や疲労倦怠感などの症状をともない、白くうるおいのある舌苔あるいは白くべっとりとした舌苔がみられ、玉をころがすように滑らかな脈をふれるときは、痰飲を除くとともに血液の流動性を高める「栝楼薤白半夏湯」や「枳実薤白桂枝湯」、「栝楼薤白白酒湯」を使います。 



 また、水分代謝の失調が進むと、からだの熱のために痰飲が粘調になって(痰熱)、胸がムカムカして気分が悪くなり、痰が切れにくくなってきます。



 舌苔が白くべっとりとして、舌の表面がぬれているのに乾燥したようにみえ、玉をころがすように滑らかな脈をふれるときは、脾胃の働きを高めて水分代謝を正常にし、痰熱を除く「温胆湯」がいいでしょう。 



 脾胃で生まれた痰飲は、肺にたまります。



 そのため、痰飲の量が増えると、胸からみぞおちのあたりがつかえて苦しくなり、みぞおちをおさえると痛みます。



 この場合は、痰熱を除き、気滞を解消してつかえを解く「小陥胸湯」や「柴陥湯」を選びます。

最新記事

すべて表示

胸の痛みと心臓病 その1

胸の痛みと心臓病 胸の痛みのメカニズム その1 胸の痛みは、主に心臓や肺の病気によって起こる    中医学では、胸の痛みを「胸痺」といいます。  「痺」は、からだの活動に必要な機能や栄養代謝(気・血・津液・精)が停滞したり不足して痛むという意味です。...

胸の痛みと心臓病 その2

胸の痛みのメカニズム その2  なお、高熱が続いたり、膿のような痰がたくさん出て、場合によっては喀血することもある肺の化膿性炎症による胸痺については、今回はふれません。  心の病変で起こる胸痺は、心を通る血管(血脈)内の血液の流れがなんらかの原因で停滞したり、心の活動に必要...

胸の痛みと心臓病 その3

胸の痛みと心臓病 その3 さまざまな原因が滋養の停滞や不足を引き起こす   中医学では、発病因子(病邪や気滞・血瘀・痰・病理産物など)によって滋養(気・血・津液・精)の流れが停滞したり不足したりすると、痛みが起こると考えます。...

Comments


bottom of page