胸の痛みと心臓病 その9
熱が胸の痛みを引き起こす
からだの活動に欠かせない滋養物質(陰)のうち、生命エネルギーのおおもととなる精は腎に、栄養と潤いを与える血は肝に蓄えられます。
また精は血につくり変えられ、血もまた精に変えることができます。
そのため、肝と腎の一方に病変が起こると、必ずもう一方にも病変がおこるようになります(肝腎陰虚)。
老化や過度のセックス、過労や慢性病などによって精や血、津液が慢性的に不足すると、肝や腎の機能はかえって亢進し、熱が生まれます。
このような状態では熱邪を受けやすくなります。
暑い日の続く夏など、強い熱を受けやすい環境では、熱が原因となって胸の痛みが起こることもあります。
熱が上昇して心の血液の流れが速くなるとともに、血が濃縮して機能が乱れると(血熱妄行)、灼けるような胸の痛みが起こり、発熱・のどの渇き・イライラ・手足をバタバタ動かす・何度も寝返りをうつ・大便の乾燥などの症状をともない、舌がザラザラして、玉をころがすように滑らかで速い脈をふれるようになります(陰虚火旺)。
このような胸の痛みには、全身の熱を冷ます力の強い「黄連解毒湯」や、「三黄瀉心湯」に石膏を加えたもの、場合によっては「温清飲」などを使います。