【慢性の腰痛】その1
慢性の腰痛は、からだの内側からの原因が主体になっていて、外部からの原因は痛みを起こすひきがねになったり悪化させる要素です。
【腎虚】
老化・過労・不規則な生活・過度の性生活・慢性病などにより、腎の精気が不足して「腎の府」といわれる腰を栄養することができないため生じる腰痛です。
慢性の腰痛のうちでは最も多く、他の原因で起きる腰痛も根本には腎虚があると考えてよいでしょう。
なお、病がより進行すると、エネルギーである陽気の不足が明らかになって虚寒の症状を呈する腎陽虚、あるいは陰精の不足が明らかで虚熱を呈する腎陰虚の症状に移行します。
症状は、まず腎虚では、慢性に持続する腰の鈍痛があり、動いたりすると増強し休息すると軽減し、腰や膝がだるく力が入らず、頭のふらつき・耳鳴りなどをともないます。
腎陽虚では、腎虚の症状以外に、四肢の冷え・寒がる・温暖をこのむ・夜間頻尿・舌質が淡・脈が沈で無力などの虚寒の症状をともないます。
腎陰虚では、腎虚の症状以外に、体の熱感・手足のほてり・尿が濃い・ねあせ・舌質が紅・脈が細く速いなどの虚熱の症状をともないます。
治法は、腎の精気を補充して腰を栄養する《補腎益精》をおこないます。
腎陽虚には温腎壮陽薬を、腎陰虚には滋陰清虚熱薬を加えます。
処方は、腎虚には六味丸、腎陽虚には八味地黄丸、腎陰虚には寫火補腎丸をつかいます。
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