もうひとつ、胃と脾の働きには次のような違いがあります。
胃が正常に働くためには、適度な潤いが必要ですが、脾は逆に湿気を嫌います。
そのため、水分の取りすぎなどで、脾に余分な湿気がたまってしまうと、機能が低下し、下痢をしやすくなります。
また、脾の機能がもともと弱い人は、水分をうまく吸収することができないため、脾に余分な湿気がたまりやすくなるという特徴があります。
下痢には、急性と慢性がありますが、いずれの場合も、原因をきちんと見きわめることが大切です。
急性の下痢は、湿熱や寒湿などの外邪によるものと、暴飲暴食などによるものがあります。
反復性・慢性の下痢は、もともと脾胃が弱い、精神・情緒をコントロールする肝が機能失調をおこしている、腎陽が不足している、といった原因で起こると考えられています。
外邪による下痢とは…
ウイルス性腸炎やかぜによる下痢も、外邪による下痢に含まれる。
この場合も、現れている症状で外邪のタイプを見きわめ、治療方針が決まる。
下痢の場合、必ず湿邪(余分な水分)が関係していることが多いが、その湿邪が熱を帯びていると考えられる場合は「湿熱」、冷えている場合は「寒湿」と判断する。
肝とは…
精神・情緒をつかさどり、気血のめぐりをコントロールしている臓器と考えていえる。
ストレスや悩みごとが多いと、肝の機能が乱れ、気の流れが滞りやすくなる(このことを中医学では肝鬱気滞という)。
また、気の流れは血にも影響をおよぼし、血の流れが悪くなることもある(これを気滞血於という)。
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