頭痛 その5
【からだのおとろえに病因物質がつけ込んで起こる頭痛】
高血圧症や更年期障害にともなう頭痛は、複雑なメカニズムで起こる
(前回の続き)
これは、肝から出発する血や津液の通り道(経絡)が頭の左側を通っているからです。
また、一日のなかでは、太陽が昇る午前中に痛みが強くなる傾向があります。
さらに、精神の興奮や怒りっぽい、めまい、耳鳴り、頭の張った痛み、顔面紅潮、目やに、目の充血、不眠、動悸、弦を張ったような細い脈、舌が紅く黄色い苔がつくといった、からだの上部の熱症状と、腰痛やひざの無力感、冷えといった、下部の冷えの症状をともなうのが特徴です。
このときは、肝と腎の精や津液、血を補って肝の機能の亢進をおさえながら熱を冷ます「天麻鈎藤飲」や「鎮肝熄風湯」を、症状が軽いときは「杞菊地黄丸」を使います。
なお、消化吸収機能が肝の疏泄失調の影響を受け、腹の張りやげっぷ、からえずき、四肢の冷え、首から肩にかけてのこり、強くおさえると弦を張ったような脈をふれるといった症状をともなうことがあります。
これは、胃が冷えて機能が低下し、消化がうまくできなくなるために生まれた病因物質(寒飲)がからだの上部にかたよって機能を亢進させ、頭部の活動を乱すからです。
疏泄機能を正常にして血行を回復させ、胃を温めて寒飲を除きながら機能を回復し、症状をおさめる「呉茱茰湯」がいいでしょう。
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